オートレースとは? 基本ルール・観戦方法・賭け方を解説

オートレースとは? 基本ルール・観戦方法・賭け方を解説

オートレースは日本で合法的に楽しめる公営ギャンブルの1つです。ここでは、オートレースの初心者向けに、オートレースの基本ルールや観戦方法、賭け方について解説しました。

目次

オートレースとは

オートレースは、競馬、競輪、競艇と同じく公営競技の1つです。レースでは選手が二輪車(競走車)に乗って、楕円形のコース(オーバルコース)を反時計回りに周回して順位を競います。周回数は最低6周、最大10周でレースの種類によって違います。

オートレースのコース
引用元:施設案内 | 伊勢崎オートレース場

オートレースのバイクには、ブレーキがありません。そのため、超ハイスピードなレースが展開されます。

オートレースでは、全レースで車券が発売されます。車券を買う時はレースの順位を予想して、的中するとオッズに応じて払戻金をもらえるという投票システムです。例えば、オッズ2倍の車券を100円で買っていたら、的中時に200円が払い戻されます。

オートレースと他の公営競技の違い

オートレースと他の公営競技の違いについて、表でまとめました。

スクロールできます
競技名乗り物コース管轄省庁還元率特徴
オートレース専用バイク舗装オーバルコース経済産業省70%ブレーキなし・超ハイスピード
競馬ダート・芝農林水産省70~80%騎手が騎乗し走行
競輪自転車バンク(傾斜あり)経済産業省75%選手同士の駆け引きが重要
競艇モーターボート水上国土交通省75%風や波の影響が大きい

ちなみに、売上が高い順に並べると下記の通りです。

  1. 競馬
  2. 競艇
  3. 競輪
  4. オートレース

オートレース以外はすべて1兆円以上の売り上げ規模を誇りますが、オートレースは1000億円程度の売り上げです。そのため、人気度や知名度は他の公営競技に比べて劣っています。

オートレースの魅力と面白さ

オートレースには、他の公営競技にはない独自の魅力や面白さがあります。

それぞれ詳しく解説します。

公営競技No1の圧倒的なスピード感がある

オートレースでは、平均時速100㎞、最高時速150㎞という超ハイスピードなレースが繰り広げられます。

オートレースにはブレーキがない
オートレースは最高時速150㎞
引用元:Autorace.jp

他の公営競技とは、比較にならないほどの圧倒的なスピード感です。

公営競技平均スピード最高スピード
競艇60㎞/時80㎞/時
競馬50~70km/時
※距離によって変動
75㎞/時
競輪30~40㎞/時
※ラスト1周まで
70㎞/時
※ラスト周回のみ

第2位のスピード感を誇る競艇よりも倍近いスピードが出ていることが分かります。特に、オートレースをレース場で観戦した時の迫力は圧巻です。

選手間の実力差を埋める「ハンデレース」

オートレースの多くのレースでは、選手のスタート位置が違います

オートレースのハンデレース

これは、選手個々の実力や直近の成績に応じて、ハンデを付けているためです。ハンデは10メートル刻みで設定されます。

ハンデは10メートル刻みで設定される

オートレースはほぼ実力通りの結果になるため、実力差がある選手が同じ位置からスタートする場合、実力の劣る選手にはほとんど勝ち目がありません。

ハンデレースとは力量が異なる選手間で競走するレースです。ハンデがなければ力量の高いランクが上の選手ばかりが勝ち上がってしまうでしょう。そこで、ハンデレースは、レースを面白くするために設けられています。

ウィンチケット

しかし、ハンデをつけることによって、実力が低い選手でも、実力の優る選手に勝てる可能性が出ます。他の公営競技に比べると、下剋上のような結果が生まれやすい仕組みになっているのも、オートレース独自の面白さです。

オートレース玄人なら、ハンデの距離も考慮した上で予想しており、投票に奥深さが出ます。なお、最大のハンデは110メートルです。

レース前に行われる「試走」の分析が面白い

オートレースでは、実際のレースが始まる30分ほど前(前回のレースが終わった直後)に、「試走」が行われます。

オートレースの試走
引用元:Autorace.jp

「試走」は単なるウォーミングアップやお披露目会ではありません。試走では全部で3周回しますが、このうちラスト1周回は、全速力で走ります。(全力で走らないと、罰則を受けることもあります)

最後の1周回、ゴール線上において青旗の合図により各選手全力で走行することが義務付けられており(後略)

試走 (オートレース) – Wikipedia

試走の直前まで、オートレーサーたちは各パーツのベストな組み合わせを探し、走路状況にマッチしたタイヤを選びます。その調整結果が試走タイムに現れるため、試走のタイムは予想する時の参考になります。

各選手の試走タイム

オートレースの結果は試走で7割が決まるとも言われているほど、予想には重要です。オートレース予想の的中率を高めたければ、試走タイムもしっかりと分析しましょう。

オートレースのルールとレースの流れ

オートレースのルールやレースの流れについて、解説します。

試走→本番というレースの流れ

オートレースは、本番前に「試走」が行われ、その後本番レースという流れで進みます。試走ではオーバルコースを3周回、本番ではオーバルコースを6~10周回します。

試走タイムは予想の重要なヒントとなるため、試走後は一気に投票が盛り上がります。

そして、1~3着までがゴールした時点で、レースの投票に関わる部分は終了です。その後、反則があったかどうかなどの確認が行われ、最終的にレース結果が確定します。レース結果が確定すると、的中者に賞金が払い戻されます。

スタート時はハンデがある

オートレースのレースは大きく「ハンデレース」と「オープンレース」の2種類があります。ほぼすべてのレースが「ハンデレース」です。

ハンデレースでは、選手の実力や直近の成績などに応じて、スタート位置が違います。実力のある選手だと、スタート位置が後方に設置されるため、レースでは不利になります。

オートレースの禁止ルール・マナー

オートレースには、失格などの罰則の対象となる禁止行為があります。

ルール内容
フライング発走合図が完了していないのに発走すること。
出残り発走合図が完了したのに発走しない、もしくは発走直後に停止すること。
後方スタート発走補助ラインに接地せず、さらに、発走合図が完了する前にスタートすること。
スタート戒告発走補助ラインに接地せず、かつ、発走合図が完了した後にスタートすることなど。
内線・外線突破走路の内線・外線を踏み越えて、内部・外部回避地帯を通過すること 。(コース外を走ること)
タイムアップ競走タイムが試走タイムより良かった場合に罰則の対象。(3着以内の選手限定)
試走戒告試走タイムが、競走タイムと比較して0.02秒/ 100m以内(タイムアップを除く)だったことを繰り返すと罰則の対象。(3着以内の選手限定)
押圧併走状態の競走車の一方が内(外)側によって相手の競走車の進路を狭めること。
衝突他の選手の競走車又は身体に接触し衝突を与えること。
斜行急激に斜めに進路を変更して後方の選手の進路と交差すること。

なお、ルールでは定められていませんが、「追い抜きの時は外側から」というマナーもあります。

反則行為ではありませんが、追い抜きにもルールがあります。オートレースでは、外側から追い抜くことが基本です。

ウィンチケット

オートレース養成所のトレーニング映像を見ても、外側から追い抜くように訓練されています。

オートレースを見る方法

オートレースの観戦方法は3種類あります。

それぞれ詳しく解説します。

ネットで観戦する

ネット投票サイトを使うと、全レースの映像を観戦できます。

オートレースのネット投票サイト

また、Autorace.jpの公式Youtubeチャンネルでも、レースの動画がライブ配信されます。Youtubeだとライブ映像しか見れませんが、ネット投票サイトだとアーカイブ映像も見れます。

オートレース場で観戦する

オートレース場に行けば、夜遅くに開催されるミッドナイトレースを除いて、レースを観戦できます。オートレース場は日本に全部で5か所です。

レース場所在地最寄駅
川口オート埼玉県川口市JR京浜東北線・西川口駅
伊勢崎オート群馬県伊勢崎市JR両毛線・伊勢崎駅、JR高崎線・本庄駅
浜松オート静岡県浜松市JR東海道線・浜松駅
山陽オート山口県山陽小野田市JR山陽本線・埴生駅
飯塚オート福岡県飯塚市JR九州筑豊本線・浦田駅

なお、最寄駅から徒歩圏内なのは山陽オートレース場のみです。その他のレース場は、駅からバスやタクシーに乗り継ぐ必要があります。どこも大きな駐車場があるので、車が使えるなら、車で行くのがおすすめです。

場外車券売り場のテレビで観戦する

オートレースの場外車券売り場では、営業時間内であればレース映像をテレビで観戦できます。

場外売り場名所在地最寄り駅
オートレース石狩北海道石狩市地下鉄南北線・麻生駅
オートレース六戸青森県上北郡六戸町青い森鉄道線・向山駅
オートレース男鹿秋田県男鹿市JR男鹿線・船越駅
オートレース石鳥谷岩手県花巻市JR東北本線・花巻空港駅
オートレース六郷秋田県仙北郡美郷町JR奥羽本線・飯詰駅
オートレース宮城宮城県柴田郡村田町JR東北本線・船岡駅
オートレースあだたら福島県二本松市JR東北本線・安達駅
オートレースしおさい鹿島茨城県鹿嶋市JR鹿島線・鹿島神宮駅
オートレース館林場外オートレース館林場外東武伊勢崎線・茂林寺前駅
オートレース花園寄居埼玉県大里郡寄居町東武東上線・鉢形駅
オートレース成田千葉県山武郡芝山町京成線・京成成田駅
柴山鉄道線・芝山千代田駅
JR総武本線・松尾駅
京成線・空港第2ビル駅
オートレースふなばし千葉県船橋市京成線・京成船橋競馬場駅
JR京葉線・南船橋駅
ラ・ピスタ新橋東京都港区JR山手線・新橋駅
東京メトロ銀座線・新橋駅
オートレース横浜神奈川県横浜市京急線・日ノ出駅
オートレース双葉山梨県甲斐市JR中央本線・塩崎駅
オートレース一宮愛知県一宮市JR東海道本線・尾張一宮駅
オートレース大阪大阪府大阪市大阪市営地下鉄堺筋線・日本橋駅
オートレース阪神兵庫県三木市JR福知山線・新三田駅
オートレース姫路兵庫県姫路市山陽鉄道・西飾磨駅
オートレース笠岡岡山県笠岡市JR山陽本線・笠岡駅
オートレース山陽広島県三原市JR山陽本線・本郷駅
オートレース宇部山口県宇部市JR宇部線・岐波駅
オートレース徳島徳島県徳島市JR牟岐線・阿波富田駅
オートレース南国高知県南国市JR土讃線・後免駅
オートレースこまつ愛媛県西条市JR予讃線・玉之江駅
オートレース西予愛媛県西予市JR予讃線・卯之町駅
オートレース中洲福岡県福岡市福岡市営地下鉄空港線・中洲川端駅
オートレース宇土熊本県宇土市JR九州・宇土駅
オートレース八代熊本県八代市肥薩おれんじ鉄道線・日奈久温泉駅
オートレース宮崎宮崎県宮崎市JR日豊本線・日向住吉駅
オートレース三股宮崎県北諸県郡三股町JR日豊本線・三股駅
オートレース門川宮崎県東臼杵郡門川町JR日豊本線・門川駅
オートレースみぞべ鹿児島県霧島市JR肥薩線・嘉例川駅
オートレースきもつき鹿児島県肝属郡肝付町なし
オートレース鹿児島鹿児島県鹿児島市JR九州・鹿児島中央駅
オートレース薩摩川内鹿児島県薩摩川内市肥薩おれんじ鉄道線・川内駅

オートレース場が近くにない人も、場外車券売り場が近くにないか探してみましょう。

オートレースの車券の種類と買い方

オートレースの車券の買い方と、車券の種類について解説します。

オートレースの車券購入方法

オートレースの車券の買い方は、全部で3パターンあります。

車券購入方法概要
ネット投票スマホ、PC、タブレットから購入できる。
ミッドナイトレースも含めて、すべてのレースを買えるのが魅力。また、クレジットカードや電子マネー決済も使えるなど、利便性が高い。
現地購入レース場の窓口や券売機で購入する。
現金のみ使える。買い目はマークシートを使って選ぶ。複数レースは買えない、複数賭け式は買えないなど、制限が多い。
場外車券売り場場外車券売り場の窓口や券売機で購入する。
現金のみ使える。買い目はマークシートを使って選ぶ。複数レースは買えない、複数賭け式は買えないなど、制限が多い。

総合的に見ると、最もおすすめなのはネット投票です。そしてネット投票のユーザーは、近年急速に増えており、今では売り上げの大部分がネット投票になっています。

売上額はインターネット投票の伸びを背景に緩やかに回復している

競輪・オートレース業界の現状と課題(令和5年5月24日)

オートレースの車券の種類

オートレースには、全部で8種類の車券があります。

種類概要
単勝1着になる選手を1人当てる
複勝3着以内に入る選手を1人当てる
ワイド3着以内に入る選手を2人当てる
2連単1着と2着を順番通り当てる
2連複1着と2着を順不同で当てる
3連単1着と2着と3着を順番通り当てる
3連複1着と2着と3着を順不同で当てる
重勝式複数のレースにまとめて賭ける
(一部のネット投票サイトで購入可能)

最も難易度が低いのは複勝です。8車立てのレースなら、37.5%の確率で的中します。

最も難易度が高いの3連単です。8車立てのレースなら的中率は0.29%(336通り中、的中は1通り)しかありません。確実性を狙うなら複勝や単勝、リスクを取ってでも大きな賞金を狙うなら3連複や3連単に賭けましょう。

オートレースの予想のポイント

オートレースで賭けを的中させるためには、いくつかのポイントがあります。特に、以下のポイントを踏まえて予想すると、賭けの的中率は高まるでしょう。

それぞれ詳しく解説します。

選手の実力(審査ポイント)

オートレースの審査ポイント

審査ポイント(競走ポイント)は、出走表に必ず書かれています。審査ポイントとは、簡単に言うと選手個々の実力を点数化したものです。審査ポイントが高い=実力がある選手と判断できるので、レースで上位に入る可能性が高くなります。

特に、オートレースは実力通りの結果になりやすいギャンブルです。迷ったら、審査ポイントが高い選手を買い目に含めることで、的中率は高くなります。

直近のレース結果

直近のレース結果は、その選手の調子を表しています。直近5レースや直近10レースの結果が書かれているので、出走表で必ず確認しましょう。

直近のレース結果

審査ポイントが高くて実力のある選手でも、直近の成績はイマイチかもしれません。すると、今回のレースでも力を出し切れずに、3着以内には絡んでこない可能性もあると判断できます。

逆も同じで、審査ポイントが低い選手でも、直近成績が好調なら、十分3着以内に入る可能性もあるでしょう。

枠番

枠番は、レースに出走する各選手に1つずつ附番されます。

オートレースの枠番

枠番は数字が小さい方が有利であることは、予想の基本として覚えておきましょう。特に同じハンデの選手を比較する時は、枠番が小さい選手が有利です。

なぜなら、枠番は小さい数字から順にインコースでスタートできるためです。オートレースでは前の選手を追い抜く時、外側を走るのがマナーとなっています。

そのため、枠番が大きい選手(アウトコースを走る選手)は、インコースの選手よりも大回りをしなければいけない(=走る距離が長くなる)ため、不利になるということです。

試走タイムとハンデの距離(試走偏差も)

本番レースの30分ほど前に開催される試走のタイムは、各選手のその日の調子を表しています。

オートレースの試走タイム

試走タイムが速い選手は、本番のレースでも3着以内に入る可能性が高いです。また、試走タイムだけではなく、ハンデの距離も考慮することが大切です。ハンデは10メートルあたり、0.01秒の差が生まれると言われています。

基本的な考え方として、10m = 0.01秒の差がある、と認識しておきましょう

競単

例えば、A選手とB選手は試走タイムが同じでも、B選手の方が10メートル後ろからスタートするというハンデがある場合は、A選手の方が勝つ可能性が高いと判断しましょう。

さらに、「試走偏差」の指標も大切です。

オートレースの試走偏

試走偏差は、その選手の平均試走タイムと平均本番タイムの差を表しています。試走偏差が小さい選手は、試走と本番のスピードがあまり変わらないという意味です。そのため、試走タイムが大いに予想に役立ちます。

一方試走偏差が大きい選手は、試走と本番のスピードが変わることが多いという意味です。そのため、試走タイムはあまり予想に役立ちません。

平均スタートタイミング(平均ST)

オートレースの平均スタートタイミング

平均スタートタイミングは、大時計の針が0になってから、実際にスタート地点から離れるまでの平均時間を表しています。平均STが小さい選手は、スタートダッシュが上手だということです

スタートダッシュがうまい選手は、レース序盤でインコースを走れます。すると、後方の選手を必然的にアウトコースで走らせることができるため、レースを優位に進めることができます。

締め切り直前のオッズ

オートレースの投票は、試走が終わった後に一気に集中します。多くの人が、試走タイムを見て投票内容を考えるためです。そのため、試走前や試走が終わったばかりのタイミングで表示されるオッズは、あまり参考になりません

例えば試走前は10倍のオッズがついていても、最終的には2倍程度のオッズしかついていないこともあります。

なるべく最終オッズに近いオッズを見ながら投票した方が良いので、締め切り直前を狙って投票するのがおすすめです。締め切り直前のオッズは、その後大きく変動することはありません。

天候と走路のコンディション

天候が雨だったり、走路が濡れていたりする場合は、通常よりもレース結果は荒れやすい傾向にあります。そのため、あえて本命の選手を外して予想を考えるのも良いでしょう。

また、試走と本番で天候や走路の状況が変わっている場合、試走タイムはあまり参考になりません。そのため、試走タイムの要素は捨てて、審査ポイントや同じコンディションのレースでの成績などを重視して予想を考えるのがおすすめです。

Autorace.jpでは、選手個々のコンディションごとの成績も確認でき、予想を考える時は参考になります。

選手個々のコンディションごとの成績
引用元:選手プロフィール | AutoRace.JP

オートレースの選手について

オートレースの主役はオートレース選手(オートレーサー)です。オートレースの選手について、詳しく解説します。

オートレース選手は個人事業主

オートレース選手は、全員個人事業主です。

オートレース選手は職業分類上、個人事業者である。

Wikipedia

そのため、レースに必要なバイクの購入、メンテナンス、修理などはすべて自費となります。

オートレース選手はいずれかのオートレース場の所属となりますが、そのレース場の社員として扱われるわけではありません。

オートレース選手の人数

オートレース選手は、2023年9月1日現在のデータで約400人です。そのうち、女子選手は20人います。

オートレーサーは、全国で約400人。(中略)女子レーサーも現在20人が活躍中です。

選手を知ろう | オートレース Special入門サイト

最年少で19歳、最年長で76歳と、幅広い年齢層の選手が活躍しています。

選手は競走成績に応じて、上位48人まではS級、49位から280位はA級、281位以下はB級とランク分けされ、全選手が少しでも上のランクを目指して日々奮闘しています。このランクは、6か月に1回見直されます。

オートレーサーのランク
引用元:選手を知ろう | オートレース Special入門サイト

オートレース選手になるまで

オートレース選手は、以下の条件を満たしていれば誰でもなるチャンスがあります

  • 満16歳以上の方
  • 運転免許証を有している方(原付免許も可)
  • 体重60kg以下の方
  • 両眼とも裸眼視力0.6以上、または矯正視力1.0以上の方

参考:オートレーサーへの道 | オートレース選手養成所

しかし、わずか400人しかオートレース選手がいないことからも分かるように、決して簡単にはなれません。続く文章で、オートレース選手になるためのステップについて詳しく解説します。

なお、免許さえ持っていれば、バイクを運転したことがないという人もOKです。運転歴が全くなくても、養成所での訓練を経て、一人前のレーサーとして運転できるスキルが身につきます。

Q)バイクに乗った事が無いのですが
A)運転免許(車、原付でも可)があれば大丈夫。バイクにほとんど乗った事がなくて試験を受け、訓練してトップクラスのレーサーになった選手が何人もいます。

よくある質問 | オートレース選手養成所

まずはオートレース選手養成所に入る

オートレース選手になる最初の条件は、養成所に入ることです。

引用元:オートレース選手養成所

オートレース選手養成所は、茨城県下妻市の筑波サーキットの敷地内にあります。受験までの主な流れは以下の通りです。

時期やること
7月はじめ次期生の募集開始
8月末募集終了
10月1次試験(全国4都市で実施)
※適性検査(性格・心理)
10月下旬1次試験合格発表
11~12月2次試験(選手養成所で宿泊で実施)
※適性検査、面接、身体精密検査、体力検査等
2月合格発表

受験するには、10,000円の受験料支払いが必要です。

10,000円の受験料支払いが必要
引用元:application39th | オートレース選手養成所

合格者数は、最大で20人程度です。

Q)募集人数は何人ですか?
A)20名(男子と女子の合計数)を予定しています。

よくある質問 | オートレース選手養成所

倍率は基本的には20倍弱ということが多く、決して簡単な試験ではありません。

年度受験者数合格者数倍率
2023年度(38期生)361人20人18.1倍
2022年度(37期生)357人15人23.8倍
2021年度(36期生)480人13人36.9倍
2019年度(35期生)337人20人16.9倍

約9か月間養成所で訓練を受ける

養成所の試験に合格した人は、4月から養成所に入所し、9か月間の養成訓練を受けます。全寮制なので、親元や地元を離れて集まった同期たちと、一緒に生活をします。

養成訓練は前半が基礎体力づくり、エンジン、競走車等の分解組立、基本操縦技術について、後半が基本操縦技術を発展させた応用操縦技術や模擬レースの訓練です。ここで訓練を受けると、競争ルールに基づいたレースができるようになります。

なお、養成所の1日は下記の通りです。

時間やること
6時30分起床
6時45分点呼
6時50分国旗掲揚
7時00分教練、体操(ランニングや体操など)
7時45分朝食
8時30分掃除
9時00分訓練開始
12時00分昼食
13時00分訓練開始
17時30分国旗降下
18時00分夕食
18時40分反省会
19時30分入浴
21時00分点呼
22時00分消灯
参考:養成所の1年 | オートレース選手養成所

養成所では、通信機器の使用が禁じられています。そのため、外部との連絡手段は手紙です。(休日の一定時間に限っては、携帯電話の使用が認められています)

また1週間に1回程度は、外出も認められています。夏季休暇、年末年始期間などは、自宅への帰省もOKです。

養成所を卒業すると、全国5か所のレース場いずれかに選手として登録される

養成期間中に、判別試験と選手登録資格検定(走行、整備、法規)に合格すると、晴れて養成所を卒業できます。卒業したら選手として正式に登録され、全国5か所いずれかのオートレース場に配属されます。

配属先は、Autorace.jpの公式サイトでも公開されます。

卒業生の配属先一覧
引用元:ニュース|AutoRace.JP

レースでデビューする

選手登録後は、すぐにレースでデビューします。ここからが、オートレーサーとしての人生の始まりです。

まずは全員が1年間、B級のランクになり、レースで結果を残しながら上位ランクを目指します。

なお、1年目の選手が乗るバイクは「2級車」というバイクです。排気量が少なく、スピードが出にくいため、レースでは不利になりますが、安全に運転できます。まずは本番のレースで安全に運転しながら経験を積みつつ、2年目以降になると「1級車」という先輩レーサーと同じ排気量のバイクに乗るようになります。

オートレース選手の収入

オートレーサーのメインの収入源は、レースでの賞金です。レースで上位に入ると賞金がもらえます。レースの規模が大きくなると、賞金額も大きくなります。例えば、SGレースだと優勝賞金は3,000万円ほどです。

そのほかに、様々な手当なども支給されますが、微々たるものです。そのため、オートレーサーが年収をアップさせるためには、いかにレースでいい成績を残すかが重要となります。

オートレース選手の平均年収は、2022年の実績で1,350万円です。

2022年の平均年収は約1,350万円。

選手を知ろう | オートレース Special入門サイト

同じ2022年の日本人の平均年収が609万円(中央値550万円)なので、オートレーサーはかなり稼ぎが良いと言えます。ランクが高いレーサーだと、年収億超えも夢ではありません。

優勝賞金3,000万円となるグレードの高いSGレースもあり、出場できるようなハイレベルの選手であれば年収1億円も夢ではありません

ウィンチケット

ただ、オートレース選手は個人事業主であり、バイクの購入やメンテナンスにかかる費用はすべて自己負担です。メンテナンス費用は年間500万円程度かかるとも言われており、その分手取りは減ります。

メンテナンスを怠れば手取りは増えますが、バイクの性能が悪くなり、レースでの上位を見込めず、結果的に収入額が減るという負のサイクルになります。

オートレース選手の引退

オートレース選手には定年がありません。実力主義の世界なので、実力さえあれば何歳でも現役を続けられます。特段の事情がなければ、自分から申し出ない限り、引退はありません。

そのため、60歳代や70歳代のレーサーもバリバリ活躍しています。

70代のオートレーサー
60代後半のオートレーサー

Autorace.jpが都度発表している引退選手一覧を見ると、60歳を超えたあたりが引退の1つの目安と言えそうです。

オートレーサーの世界には派閥や師弟関係がある

オートレーサーの世界には、「派閥」や「師弟関係」があります。派閥は、主に同じ地域の出身である、同じ師匠に教わったなどの共通点から形成されます

派閥に所属することで得られるメリットは、下記の通りです。

  • 派閥内で仲間意識が芽生える
  • 孤立しない
  • 精神的なケアを受けられる
  • 技術の共有を受けられる

ただ、派閥内同士の争いや人間関係の面倒くささなどのデメリットもあり、あえて派閥には所属しない選手もいます。

また、オートレースの師弟関係は、新人選手が養成所を卒業したあたりで形成されます。デビューしたばかりの新人選手は、右も左も分からない状態なので、師匠にあたる先輩選手から技術面、精神面などの指導を受けながら、キャリア形成をするのです。

オートレースの世界には、その裏側に派閥や師弟関係といった人間模様もあります。こういった人間模様を踏まえてレースを予想するのも、オートレースの楽しさの1つです。

オートレースのバイクの特徴

オートレースで使うバイクは、通常のバイクとは違います。主な特徴は、以下の通りです。

項目内容
エンジン排気量は500ccか600㏄
ブレーキなし
タイヤグリップを重視した三角タイヤ
最高速度約150km/h

特に、ブレーキがない点は大きな特徴でしょう。オートレースでは、平均100㎞/時という超高速のレースが繰り広げられます。

もしレース中にブレーキをかけると、後続車を巻き込んで大事故に発展する恐れもあるため、事故を未然に防ぐためにブレーキは搭載されていないのです。その代わり、エンジンブレーキが強力です。

またバイクの排気量は50㏄から、大きいものだと1000㏄を超えるものもあります。しかし、オートレースでは、500㏄か600㏄の排気量のバイクしかありません。

オートレースで使用されるバイクのエンジンの排気量は以下の2種類です。

①AR600(600cc)
②AR500(500cc)

ウィンチケット

オートレースの歴史

オートレースには70年以上の歴史があります。これまでの主な出来事を、表でまとめました。

時期出来事
1950年5月小型自動車競走法公布、施行
1950年10月船橋オートレース場開設(全国初のオートレースを開催)
1965年3月第1回日本選手権オートレース(川口オートレース場 優勝 広瀬登喜夫)
1965年5月第1回オールスターオートレース(飯塚オートレース場 優勝 末安喜三郎)
1989年4月発走合図システム装置が全場で一斉に稼動
1990年3月年間車券売り上げ3千億円台を突破
1993年10月新型エンジン”セア”デビュー
2003年6月iモード・インターネット投票の正式稼働
2006年5月15,721,720円の過去最高の高額配当(伊勢崎12R 3連単)
2012年6月控除率を25%から30%に変更
2015年11月ミッドナイトオートレースの開始(飯塚レース場)
2024年10月鈴木圭一郎 オートレース史上初年間勝利記録100勝達成

オートレースは1950年にスタートしました。売上金額は最高で3000億円台を記録したこともあります。その後売上減少が続き、その影響で還元率が75%から70%に引き上げられるなどがありましたが、ここ数年の売上は回復傾向です。

近年の売上回復は、インターネット投票の普及が要因です。特に2019年以降は多くのネット投票サイトが登場し、翌年のコロナウイルス感染拡大の影響もあって、一気にネット投票ユーザーが増えました。

オートレースの売上推移
引用元:競輪・オートレース業界の現状と課題

オートレースの売上金の一部(約2.1%)は、公益財団法人JKAを通じて、機械振興や公益振興のための補助金として活用されています。

オートレース事業の運営体制
引用元:オートレース事業の運営体制

万が一オートレースで負けても、何かしらの形で社会の発展に役立っていると思えば、少しは悔しさがなくなるはずです。

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