日本には6種類(競馬を地方競馬と中央競馬に分けると7種類)の公営ギャンブルがあります。ここでは、公営ギャンブルの特徴を、人気順に紹介しました。
公営ギャンブルの人気ランキング
公営ギャンブルの人気ランキングについて、2023年度の売上金額を元に順位付けしました。
順位 | 公営ギャンブル | 2023年度売上金額 |
---|---|---|
1位 | 中央競馬 | 3兆2869億7589万円 |
2位 | 競艇 | 2兆4,220億円 |
3位 | 競輪 | 1兆1892億4817万円 |
4位 | 地方競馬 | 1兆888億6525万円 |
5位 | 宝くじ | 8088億円 |
6位 | スポーツくじ | 1203億5801万円 |
7位 | オートレース | 1091億3117万円 |
各公営ギャンブルの特徴を詳しく紹介します。
中央競馬
中央競馬は日本で最も人気がある公営ギャンブルです。土日祝日しか開催されませんが、G1レースとして注目度の高いレースが非常に多く、たくさんの競馬ファンが毎週のように馬券を買います。
例えば、2024年に最も中央競馬で馬券が買われたレースは「有馬記念」で、総額は550億8305万7100円でした。このたった1レースだけで、オートレースの年間売り上げの半分以上を記録したことになります。
中央競馬場は観客も多く集まり、超満員になることも珍しくありません。
中央競馬は、土曜日のレースも日曜日のレースも地上波で放送されるなど、露出の機会も多く、他の公営ギャンブルよりも明らかに知名度や人気度が高くなっています。
競艇
競艇は中央競馬に次いで、第2位の売り上げ規模を誇る公営ギャンブルです。10年前の2013年の売上金額と比べると、競艇は255%以上増加しており、全公営ギャンブルの中で最も高い増加率になっています。つまり、最も人気が伸びているということです。
特に、2020年以降の売上金額の増加が顕著です。
年 | 売上金額 |
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2013年 | 9,476億円 |
2014年 | 9,953億円 |
2015年 | 1兆338億円 |
2016年 | 1兆875億円 |
2017年 | 1兆2064億円 |
2018年 | 1兆3728億円 |
2019年 | 1兆5434億円 |
2020年 | 2兆951億円 |
2021年 | 2兆3926億円 |
2022年 | 2兆4142億円 |
2023年 | 2兆4220億円 |
これは、元々競艇場や場外舟券売り場に通っていたユーザーが、コロナを機にネット投票(テレボート)に乗り換えたこと、さらにテレボートの投票の手軽さに気づいて一気にネット投票が普及したことなどが原因と考えられます。
さらに、以下のような理由から、ライトユーザー獲得、舟券の売上増加に繋がったのでしょう。
- 著名人(神尾風珠や中村獅童、土屋アンナなど)を起用したテレビCM、ネットCMの放映
- 6艇しか出艇しないために的中率が高いこと
- 毎日必ずレースが開催されること
2023年の競艇の売上規模は、2013年の中央競馬と同水準です。中央競馬の売上増加率は毎年数%単位しかないため、競艇が現在の成長率を維持するなら、近い将来、中央競馬を超す可能性も十分に考えられます。
競輪
競輪は3番目の売り上げ規模を誇る公営ギャンブルです。2010年以降はしばらく6000億円台で推移していたものの、2020年に入ってからは、一気にその数字が増加し、2022年にはついに1兆円の大台を突破しました。
年 | 車券売上金額 |
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2019年 | 6604億6055万5100円 |
2020年 | 7499億9019万6400円 |
2021年 | 9646億1344万7100円 |
2022年 | 1兆907億7929万200円 |
2023年 | 1兆1892億4817万円 |
競輪の売上増加の大きな要因になっているのは、ネット投票です。近年の競輪のネット投票の売上額、全体に占める割合は爆発的に増えています。
競輪は投票サイトが多いこと、毎日朝から23時台まで投票できるチャンスがあることなどが、ユーザー増加、売上増加に繋がっているのでしょう。また、競輪独自の「ライン」というシステムもあり、初心者がある程度慣れてきたころには、「ライン」の奥深さに気づき、さらに競輪の奥深さにハマることもあります。
競輪は人間を動力とする唯一の公営ギャンブルであるほか、人間関係や心理状態などもレース結果を左右することがあり、「人間ドラマとしての面白さがある」という点も魅力です。
〝人VS人〟というよりは〝人―人VS人―人〟だからこそ生まれる人間ドラマ。〝―〟に込められた人生。1年目の若造だからこそ思った。競輪は最高だ。
KEIRINスポニチ
地方競馬
地方競馬は4番目の売上規模を誇る公営ギャンブルです。2022年度に年間売り上げが初めて1兆円を突破し、2023年もその記録を伸ばしました。特に、コロナウイルスが拡大した2020年度以降の売上増加が顕著です。
地方競馬は、全国15か所にある競馬場で毎日レースが開催されます。中央競馬は土日祝日にしか賭けられないので、平日も含めて毎日投票できるのが大きな魅力です。
また、最近は中央競馬と地方競馬の交流レースである「ダートグレード競走」も多く、注目度が高いレースも増えてきました。例えば、大井競馬場で開催される「東京大賞典」は、中央競馬にも負けないほどの注目を集め、競馬ファンを熱狂させます。
またばんえい競走のように、ユニークなレースを見られるのも、地方競馬ならではの魅力です。
宝くじ
宝くじは約8000億円の売上を誇ります。2005年頃をピークに減少傾向にあり、近年はほぼ横ばいの状態です。
宝くじは、当たれば一気に数千万円、数億円の超高額賞金をもらえる可能性がある点が魅力です。その意味で「宝くじを買う=夢を買う」と言われています。
しかし、それほどの高額賞金を獲得できる確率はほぼありません。また宝くじで一攫千金した人は、その後の人生が破滅しているという話もよく聞きます。
宝くじの高額当選者は悲惨な末路を迎えがちであることが知られており、また、資産をたんまり持っている富裕層であっても老後破産は他人事ではありません。
ゴールドオンライン
夢はあるものの、実際には還元率が全公営ギャンブルで1番低く、稼ぎにくいので、今後もあまり人気の回復は期待できません。
スポーツくじ
スポーツくじは、売上規模はまだ小さいものの、近年着実に人気を高めている公営ギャンブルです。2023年度の1203億円は、2021年度の1131億円を超えて過去最高の売上金額となりました。
令和5年度の売上は、約1,203億円となり、令和3年度の約1,131億円を上回る過去最高となりました。
【NEWS RELEASE】スポーツくじ 令和年度売上は、過去最高となる約1,203億円!
スポーツくじには、toto、BIG、WINNERの3種類があります。特に売上増加の要因となっているのが、WINNERです。
WINNERはサッカーやバスケットボールの1試合の結果を予想するタイプのくじです。totoとBIGのように、複数の試合を的中しなければならないというハードルの高さがないため、予想しやすいことが人気の理由になっていると考えられます。
オートレース
オートレースは公営ギャンブルの中では、最も売上が少なく、人気が低いです。これは、オートレースの認知度が他の公営ギャンブルに比べて低いことが理由として考えられます。
実際にオートレース場は全国に5か所しかありません。そのうち伊勢崎と川口、山陽と飯塚は近隣の地域にあり、全国どこでもレースを楽しめるという環境ではありません。
しかし、ネット投票環境が整備されています。ネット投票サイトなら、全国すべてのレースを、どこにいても投票できます。また、すべてのレースをライブ映像で視聴できるのも魅力です。
最近は遅い時間帯に開催される「ミッドナイトレース」も増えて、誰でも投票しやすい環境が整っています。レース中の圧倒的な迫力は他の公営ギャンブルにはない魅力で、オートレースを認知すればハマる人は増えるでしょう。
一番人気が高いのは競馬(中央競馬)
公営ギャンブルの中で、一番人気が高いのは中央競馬です。実に3兆円規模の売上を誇ります。
ネットサイト経由の投票が85%
中央競馬の人気を支えているのは、今はネット投票です。
ネット投票サイトの会員数は2022年時点で600万人を突破し、ネット投票サイト経由の売上金額は2兆8000億円、全体の85%を占めています。
この傾向は、コロナウイルスが拡大した2020年以降に顕著となりました。満員の競馬場の熱狂を見ると、現地での馬券売り上げも好調のように見えますが、実際は競馬場での売上は0.5%にも満たないほどわずかです。
投票の手軽さやオッズの分かりやすさ、換金しやすさなどを考慮してか、現地の競馬場にいながらも客席でネット投票するという人も多くいるようです。
近年は競馬場に足を運びながらも客席からスマートフォンで投票する観客も多く、コロナ禍後の調査では来場者の6割がネット会員だったという。
日経クロステック(xTECH)
売上金額は13年連続で上昇中
中央競馬は1997年に4兆6億6166万3100円の最高売上を記録して以来、2011年までは一貫して減少を続けました。しかし2011年が谷底となり、そこからは一転して13年連続で売上が増加し続けています。
成長率としてはなだらかですが、今後もその傾向はしばらく続くと予想できます。
一番人気が低いのはオートレース
公営ギャンブルの中で、一番人気が低いのはオートレースです。
ピーク時に比べると売上金額は3分の1以下
オートレースの2023年度の売上は1091億3117万円でした。これは、過去最高を記録した1991年の3497億円と比べると、実に3分の1以下ということになります。
ピーク時から大きく売上が落ち込んだのは、バブル経済が崩壊したこと、控除率が25%から30%に上がったことなどが考えられます。
売上金額は7年連続で上昇中
オートレースの売上金額は2016年度に底を打ち、以降は7年連続で上昇しています。これは、ネット投票が普及したこと、飯塚オートレース場と山陽オートレース場でミッドナイトオートレースが開催されるようになったことなどが、理由として考えられます。
日本はギャンブル大国と言われるだけあって、オートレースもまだまだ売上が爆発的に増加するポテンシャルを秘めています。元SMAPの森且行が選手として活躍するなど、話題性もある競技だけに、今後はさらに人気が拡大することに期待です。
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